『滅びが過ぎ去るまで』(2023.9.24礼拝)

礼拝説教題『滅びが過ぎ去るまで』 詩篇57篇

【主題聖句】 私をあわれんでください。神よ。私をあわれんでください。私のたましいはあなたに身を避けていますから。 私は滅びが過ぎ去るまで御翼の陰に身を避けます。(詩57:1)

57~59篇の表題には、いずれも「『滅ぼすな』の調べに合わせて」とありますが、ダビデがサウルに命を狙われた時に詠ったものと思われます。さらにこの詩篇では「ダビデがサウルから逃れて洞窟にいたときに」との状況説明がされています。これはⅠサムエル記24章の出来事でしょう。

三千人もの精鋭部隊に捜索されて、洞穴の奥に潜んでいたダビデたちが見つかるのは時間の問題でした。その危機的な状況の中でダビデは神様のあわれみにすがり、恵みとまことによって必ず救ってくださるとの確信の祈りをもって、滅びが過ぎ去るまで神の御翼の陰に身を避けたのでした。その祈りは見事に聞かれ、サウル一人だけが用をたすためにダビデたちの潜んでいた洞窟の中に入って来たために、一気に形勢が逆転したのです。

しかしダビデはサウルに手をかけませんでした。それはサウルが「主に油注がれた王」だったからです。ダビデが「私の心は揺るぎません」と二度繰り返しているのは、自分で敵に復讐することなく神様の御手にすべてを委ねようとする決意からでしょう(ローマ12:19)。このことによってサウルは自分の悪を認め、ダビデが必ずイスラエルの王になることを知って祝福し、全軍を連れて帰ったのでした。そうして救われたダビデは神様に感謝し、神様の栄光が天と全地であがめられるようにと繰り返し賛美したのです。

ダビデは神様が共にいると信じていても、恐れがなかったわけではありません。怖いからこそ、滅びが過ぎ去るまで最も安全な場所である神様の御翼の陰に身を避けたのです。「私は暁を呼び覚まそう」とは、滅びの不安の暗闇が過ぎ去って救いの夜明けが早く来るようにとの願いではないでしょうか。私たちも危機的な状況に置かれた時には、「私のためにすべてを成し遂げてくださる神」を呼び求め、その御翼の陰に身を避けましょう。

三谷浩司 牧師