『主の御名を忘れない』(2023.6.4礼拝)

礼拝説教題『主の御名を忘れない』 詩篇44篇9-26節

【主題聖句】
これらすべてが私たちを襲いました。 しかし 私たちはあなたを忘れず あなたの契約を無にしませんでした。(詩44:17)

神様がいつも共にいて守り助けてくださる、だから恐れる必要はない、そのことを御言葉によって教えられ(イザヤ41:1)、また堅く信じていても、やはり大きな困難の中に置かれた時には、私たちは弱気になるものです。


この詩篇の作者も、9節以降は8節までとは打って変わり、恐れと嘆き、神様への訴えの叫びが続きます。自分たちは敵に襲われて思うままに略奪され、食用の羊のように安値で売り渡されて人々の物笑いになっていると。そしてそれは神様が自分たちを拒み、共に出陣してくださらないからだと。


彼らは、もし自分たちがまことの神様を捨てて偶像に拠り頼んだなら、神様に捨てられても仕方がないと考えました。しかし彼らにはそのような覚えはなかったのです。理由が分からないのになぜか神様に拒まれている、これほどもどかしく、不安で、辛いことはありません。神様の前に正しく歩んでいたヨブも、同様の苦悩を経験して激しく嘆きました(ヨブ3章)。


しかし、彼らはそのような状況の中にありながらも、「あなたを忘れず、あなたの契約を無にしませんでした」と素晴らしい信仰告白をしています。それは彼らが、神様は絶対に自分たちを忘れず、見放さず、見捨てないという御言葉の約束・契約を確信していたからでしょう(イザヤ49:15、申31:6)。そして彼らは理由は分からずとも、すべては神様の御心の内にあることを信じ、ひたすら神様の恵みに拠り頼んで必死に助けを祈り求めたのでした。


パウロも22節を引用して、私たちクリスチャンは信仰を持っているがゆえに必ずそうした苦悩の数々を経験すること、そしてそれらが私たちをイエス様の愛から引き離そうとするけれども、私たちを愛してくださったイエス様によって圧倒的な勝利者になれると教えています(ローマ8:35-37)。ですから、どんな困難に襲われても主の御名を忘れないようにしましょう。

三谷 浩司 牧師